今こそモバイルオーダーをはじめる理由
首都圏を中心に新型コロナウイルスの感染第2波の懸念が高まるなか、企業が独自の対策を急いでいる。
業種に関わらず、営業スタイルは大きく変わり、そのほとんどがWeb商談や電話商談など、直接会わない、非接触スタイルをとっている。
衣料品店や量販店などは、店に入る前に客に対し検温の実施、手指の消毒とマスク着用を求めるところも多い。
飲食店においては、テーブルとテーブルの間隔を広くし、テーブルの上にはアクリル板を設置したり、同じグループ同士でも極力会話を控えたり、大声で話さないよう促している店も多い。
飲食店について、他の業種と大きく異なるのは、店員と客の接触が否応なしに発生することだ。
飲食店の、特に居酒屋やアルコールを提供する業態の場合、追加注文の度に店員を呼ぶことになる。
ランチやカフェ利用なら、おおよそ1度か2度の注文機会だろう。
しかし、アルコールを含む飲食の場合は、ドリンクをその都度注文するため、ともすれば10回程度店員を呼ぶこともある。
このとき、万が一客あるいは店員が症状なしの感染者だった場合、どのようなことになるだろうか。
結果は想像に難くないと思うし、人数が多ければクラスターが発生する懸念も十分考えられる。
そうすると、withコロナの時代において、飲食店は一切の営業をできないのか。
利用者からすれば、仕事をして1日を終え、好みの店でその疲れたカラダに染み入るビールやレモンサワーの味はもう味わえないのか。
友人、知人、恋人、同僚と外で会い、他愛のない話をしながら楽しむ料理やアルコールは家で味わうそれとはまったく違う感覚だと思う。
そんな場を提供してくれているのが飲食店なのだ。
命あってのものだということは百も承知だし、危ない場所に自ら行く必要はない。
つまりは、答えは簡単、店に行かなければよいのである。という人が多いと思うが、飲食店は危ない場所という考えだけは避けたい。
そんな考え方が浸透したら、日本中の飲食店がなくなってしまい、利用者としては楽しみがなくなってしまう。
どんなことにも解決策はあると思う。それが100%の策でなくても、事態を少し改善できるような何かを考える力が人間にはある。
「スタッフと客の接点を極力減らしたい」
飲食店オーナーがそう呟いた。体を心配し、安全を考慮した結果の発言だ。
スタッフは大切な存在であり、客と同様コロナにかかってはならない。
でも、注文はとるし、レジでの会計対応もある。接触しないという状況はつくり出せない。
どうしたら、せめて接触機会を減らすことができるのか。
あ、客が自ら注文してその内容がダイレクトにキッチンに届けばよいのではないか。
そうすれば、毎度注文を取りにいかないでいいから、客も安心だし、スタッフも最低限の人数で対応できる。
でも、どうやって。
テーブルに置いたメニューは使いまわしで、衛生的とはいえなくなっていて毎回消毒するのにも手間がかかっているし。
そういえば、テレビでモバイルオーダーという言葉を見た記憶がある。
大手のハンバーガーチェーンが導入した注文方法で、
客は店の外から注文ができて、店に行くと商品の受け渡しのみで帰れるらしい。
それなら、決済もスマートフォンでできるからお金のやりとりもなくて衛生的だ。
でも、これ、店の中でも使えるのだろうか。
ずばり、使える。
店の中でモバイルオーダーを使うと、客のスマートフォンがメニューになり、そこから注文が可能だ。
客が来店してテーブルに通したら、入店処理をしてテーブル専用のQRコードを発行し、客に渡す。
客がスマホでそれを読み込んだらメニュー画面に早変わり。
いつも使っていた紙のメニューが、デザイン性よく画面に表示されるので、注文する客も楽しい。
これなら、とにかくスタッフを呼ばなくてよいし、スタッフは調理と配膳に集中できる。
注文をとるやりとりがなくなるので、結果的に接触が減るのである。
さらには、セルフレジを導入すれば、レジでのスタッフと客のやりとりもなくなる。
キャッシュレス対応にすれば、お金を触る必要がなくなり、客も安心ではないだろうか。
新型コロナウイルスが猛威をふるい始めたころ、一般社会においては2020年夏には終息しているだろうという楽観的な意見が大半だった。
その中で有識者だけは、年単位で考える必要があると言っていた。今になってその言葉がよく理解できる。
まず、有効なワクチンが開発されて、世の中に適正な価格で広まるようになってはじめて終息したといえるのである。
そうなるには、2年3年という年月が必要なのである。
それでは、それまで社会はどうなるのか。
ずっと家にいて、人とも会わず、話ができるのは電話かオンラインのみ。
この状態で人間はストレスなく、毎日を過ごせるのだろうか。
旅行が好きな人は、特に日本を出ることを制限されている今、海外旅行の楽しみを奪われている人は多い。
国内旅行だって、都会から来た人を怪訝な顔で迎える地方の人もなかにはいるくらいだ。だから、大手を振って楽しむことは難しい。
外食が好きだった人は、ウイルスの恐怖に怯え、食事は家でのみ。人と接触する機会が多い店は行けない。
外食を楽しみにしていた人が、これを2年間も続けられるだろうか。
需要と供給で成り立つ世の中において、日本の飲食店には選ばれる理由と価値があるから、数多くの料理とお酒でもてなす店が無数に存在してきたのである。
今、それが存続の危機をむかえていて、なんとかしないといけない。
対策を講じて、日本の飲食店に存続してほしい。
モバイルオーダーはその対策の一つになれると思う。
飲食店のニュースタンダードになる日はくる。
導入が早ければ早いほど、客は戻ってくる可能性がある。
withコロナ/afterコロナの時代になにをすべきかわからない、迷いがあるという場合、モバイルオーダーを選択肢の一つとして考えてみてはどうか。